2021/01/08

これから本や論文を読む皆さんへのメッセージ−第3回 初めての論文検索. 論文を手に入れよう!−

 

 こんにちは。歯科医師の大月です。久しぶりの投稿となりますね。皆様、今年もよろしくお願いいたします。2020年は新型コロナウイルス感染症で、皆さんの生活や仕事にも多くの影響を与えていることだと思います。少なくとも現在まで、日本では歯科医院からクラスターが発生していないという事実は誇るべきことだと思いますし、マスクや個人防護具の徹底、滅菌消毒が当たり前の医療であることが関係しているのかもしれません今後も気を引き締めながら、患者さんの健康を守っていきましょう。





 さて、前回の記事まで読んでおられた方、論文ってどうやって調べるの?って話の続きです。 "Powered Toothbrush"(電動歯ブラシ)をPubmed(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/)という論文検索エンジンで調べてみましょう。結果548編の論文がヒットしました(2020年12月5日検索、下画面参照)。





こんなにたくさん、まずどこから読めばいいのか分かりません。そこで、コクランシステマティックレビューhttps://www.cochrane.org/ja/evidence)という、質が担保された論文だけを集めてデータをまとめた論文を読み、偏りのない情報を得てみることとしましょう。では、検索窓で"Cochrane"というキーワードを足してみます(以下)。






そうすると、キーワードが絞り込まれたことにより、40件の論文だけがヒットしました。しかも一番上にはCochrane Database
Syst Revというワードが。しかもFree PMC articleと書いてあります。つまり、タダで手に入る論文ということですね。ありがたや~。ちなみにこの世界中で信頼されているコクランシステマティックレビュ-は無料で全文が手に入れられることも多く、知らない分野の勉強を始めるスタートとして読むには最適です。ではここをクリックすると以下のようなページにたどり着きました。






そこで右のFull Text Linksのどちらかのバナーを押していただくと、この論文のPDFファイルがダウンロードできるはずです。ちなみに今回はPMC Full Textと書いてある方を押してみましょう。以下のような画面にたどり着き、右上のPDFというボタンを押していただければ一丁上がり、PDF形式で論文が手に入ります。








このように論文を手に入れるのが"超基本"のやり方となりますが、達人になってくるともっと様々な方法で、自分に必要な情報に最短でアクセスする方法が身についています。また、今回の論文は無料で手に入れることができましたが、世界中にある正しい情報で、無料でアクセスできるものは少ないです。質の高いジャーナル(学術誌、学会誌、論文誌など)の多くの論文は個別に費用がかかります。大学に属している方であれば大学が年間契約をしているので、手に入れるのは容易ですが、個人ではそうもいきません。多くの歯科医師や歯科衛生士はその手段を持たないので、大学の人間にダウンロードしてもらう場合がほとんどでしょう。しかし、実はどなたでもほしい論文を手に入れることができるかもしれない方法があるのです。国会国立図書館のサービスを利用する方法や、お近くの公立図書館に問い合わせをすることです。 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=man_view&id=2000016763





私も大学に籍を置く前は、大学の友人に頼むことが多かったですが、それでも手に入らないものがあり、公立図書館を通じてその論文のコピーを手に入れることがありました。




まずは論文を手に入れないと読めませんので、まずはその検索、入手方法について書かせていただきました。次回はこの論文,内容を探ってみましょう。お楽しみに!







大月 基弘,歯学博士

ヨーロッパ歯周病学会 (European Federation of
Periodontology) 認定歯周病/インプラント専門医 

日本歯周病学会専門医,日本臨床歯周病学会認定医,歯周インプラント認定医

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