皆様、こんにちは!研究開発部Nです。
近年、う蝕、歯周病に次ぐ第三の歯科疾患として、Tooth wearが注目を集めています。
今回はTooth wearと、「NCCL(Non-carious Cervical Lesion:以下、NCCL)」の特徴、
NCCLの患者さんへの指導のポイントをお伝えします!
◆Tooth Wear とNCCL
Tooth Wearは「非う蝕性の原因による歯質喪失」の総称です。
非う蝕性の歯質喪失を表す用語としては、「酸蝕」「摩耗」「咬耗」
「NCCL(非う蝕性歯頸部歯質欠損)」、[アブフラクション」、「楔状欠損」などがあります。
この中でも特に、近年知見が蓄積され、議論されているのが「NCCL」です。
NCCLは、「う蝕以外が原因の、歯頸部に発生するCEJ付近の病的な歯質の喪失」と定義づけられています。
また、NCCLは複数歯にわたる場合や1歯に限局した場合もある、健全歯だけでなく、充填やクラウンの周りに発生することもあるとされているなど、多様な臨床像を示しています*1。
◆NCCLへの保健指導のポイント
NCCLへの対応としては咬合調整が多いですが、これは大切な歯質を削ることに繋がってしまいます。
しかしNCCLの原因がブラッシングの場合は、歯科衛生士のTBIで歯質を削ることなく、
NCCLの進行を止めることができるとされています。
ブラッシングが原因の場合は、歯質欠損の角度とハブラシが当たる角度が
一致しているため、NCCLの部位、患者さんのみがき方、ブラッシング圧等、
まずは患者さんのブラッシング状況を確認してみましょう!
また、ブラッシングが原因のNCCLの患者さんへの指導の際には、
下記のようなポイントをお伝えしてみましょう。
*歯磨剤の使用を控えるか、研磨剤無配合または低研磨性のものに変更するのがおすすめです。
*NCCLは最初にみがき始める部位に、大きなストロークでみがくことで起こりやすいとされていますので、ハブラシが当たりにくい最後臼歯遠心面からみがくなど、みがく順番を提案し、小さなストロークでみがくよう指導してみましょう。
以上、Tooth wearとNCCL、患者さんへの指導のポイントをお伝えいたしました。
今後もTooth WearやNCCLは、新たな研究や知見が蓄積されることが予想されますので、
定期的に知識をアップデートしていきましょう!
参考文献
*1 the Quintessence.vol38(7):1398-1423, 2019.