こんにちは!
研究開発部のPです。
今回のテーマは「糖尿病と歯周病の関係」です。
糖尿病と歯周病に関連があることは、皆さんもどこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか。
まずは糖尿病についておさらいしましょう!
「平成28年国民健康・栄養調査(※1)」によると、糖尿病が強く疑われる者(糖尿病有病者)、糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)はいずれも約1,000万人とされています。合計すると約2000万人もの糖尿病リスク者がいることになり、有病者数も年々増加傾向にあります。(※2)
糖尿病はブドウ糖を利用するために必要なインスリンが不足したり、働きが悪くなることで血糖値が高い状態が続く病気です。
インスリンはすい臓で作られ、血液を通して肝臓、筋肉などに運ばれ、血液中のブドウ糖を細胞内に取り込むことを手助けすることで、血糖値を下げます。
1型糖尿病と2型糖尿病
糖尿病の代表的なものとして、1型糖尿病と2型糖尿病があります。
1型糖尿病は主に小児から青年期に発症し、自己免疫疾患などが要因と言われます。
すい臓でインスリンがほとんど作られないので、インスリン不足が起こります。
2型糖尿病は中高年に多く見られます。
インスリンの分泌が少ない、効きにくいといった遺伝的な背景に加えて過食や運動不足、高脂質の食事などの環境因子や加齢が組み合わさって発症します。日本の糖尿病患者のうち9割以上が2型糖尿病といわれています。
糖尿病と合併症
糖尿病は生涯に渡って、血糖コントロールをしながら付き合っていく必要がある病気です。
もし血糖のコントロールができず、血糖値が高い状態が続くと、血管や臓器を傷つけて重大な疾患や症状につながってしまう恐れがあります。
特に、神経障害・網膜症・腎症は糖尿病の3大(慢性)合併症と呼ばれ、それ以外の関連疾患は併存症と呼ばれます。
近年では、その併存症の1つとして歯周病が挙げられていますが、糖尿病と歯周病は相互に関係することが他の合併症や併存症と異なる点として知られています。
では、なぜ糖尿病と歯周病に関連があるのでしょうか?
糖尿病と歯周病の関係
上の図のように、歯周病の炎症により産生された炎症物質がインスリンの働きを阻害することで、血糖のコントロールが上手く行えなくなり、糖尿病になりやすくなります。
また逆に、糖尿病により血糖値が高い状態が続くと、細菌などと戦う機能を持つ白血球の働きが弱まります。糖尿病によって免疫力が下がることで、体が歯周病菌と戦う力が低下し、歯周病になりやすくなってしまうのです。(※3)
さらに血糖コントロールが悪い状態では、炎症が増悪し、歯周病が進行しやすくなっています。
近年提唱されている歯周病の新分類では、喫煙と同様に糖尿病であることや血糖コントロールの値が歯周病の進行リスク修飾因子として記載されており、歯周病の治療や管理をする上でも血糖コントロールのチェックがとても重要になっています。(※4)
このように、糖尿病と歯周病はお互いに深く影響しているので、
適切なセルフケアとプロフェッショナルケアで、歯周病を予防することはもちろん、
バランスの良い食事と毎日の運動から糖尿病を予防することも欠かせませんね!
*サンスターでは、糖尿病の方のお口の状態や、ケアの方法に関するリーフレットや冊子、マニュアルも作成しているので、患者さんへの指導の際にぜひ活用してください♪
【参考文献】
※1) 国民健康・栄養調査・・・健康増進法に基づき、国民の身体の状況、栄養素など摂取量および生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とした調査。
※2) 厚生労働省:平成28年「国民健康・栄養調査」の結果
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177189.html
※3) 歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020:歯周病と糖尿病の関係|歯周病と糖尿病
https://www.jda.or.jp/park/relation/periodontaldisease-diabetes_02.html
※4) サンスター:「糖尿病を持つ方の口腔管理ポケットガイド(医療従事者向け簡易マニュアル)」
(クラブサンスタープロに近日掲載予定)