皆さん、こんにちは!営業のZです!

雨の日が続き、気持ちもどんより気味ですが

会社の玄関の庭で色鮮やかに咲いている紫陽花を見て心癒されている今日この頃です☂

突然ですが、皆さんは

「直接言われていないけど、何となく行動してしまったこと」

ってありませんか?


例えば、スーパーやコンビニでこのような足跡のマークを見ると

お店の人に言われなくても並んでしまいますよね。

これは「ナッジ理論」を活かしたものなんですよ! 


     

 今日は、行動経済学で用いられるこの『ナッジ理論』についてお話をさせていただきます。

  

【ナッジ理論とは】

ナッジ(nudge)には、

「ひじで軽く小突くように、自発的に望ましい行動を促す」という意味があります。

ナッジ理論とは、「相手に強制することなく、

自分自身にとって最適な行動をとるように導いてあげるための方法論」のことをいい、

2017年にノーベル賞を受賞した行動経済学の権威、

リチャード・セイラー教授が提唱した理論です。

 そのナッジ理論を理解するために役立つのが

「EAST(イースト)」と呼ばれるフレームワークです。 

  

E 「Easy(簡単)」:簡単なものになっているか?情報量が多すぎないか?

A 「Attractive(魅力的)」:魅力的なものになっているのか?注目を集めるか?

S「Social(社会的)」 :社会規範を利用しているか?多数派の行動を強調しているか?

T「Timely(タイムリー)」:適切なタイミングに情報やサービスが提供できているか?

  

の頭文字をとってEASTとなっており、

これら4つの観点からチェックし、相手の行動を促すための工夫を考えます。

  

【ナッジ理論のフレームワーク「EAST」を使った活用事例】

実は、厚生労働省も、がん検診受診率向上のために、ナッジ理論を導入活用しているんですよ。

その活用事例をEASTの観点からご紹介します。 詳しくは、こちら

★E:Easy(簡単)ポイント:”選ばなくていい“は、最強の選択
事例:福井県高浜町「がん検診セット受診率改善」

 

「どれにする?」から「いつにする?」に!
 

高浜町では、がん検診の受診率を向上させるべく、新たな申込フォームを開発しました。

今までがん検診はオプションのような位置づけとして見せており

受診したいものを住民が選んで申し込むものでした。



改善したフォームでは

「がん検診は対象となるもの全てセットで受診すること」を前提とし

住民は検診の希望日を選ぶだけの簡単なものとなりました。
 
「どれにする?」から「いつにする?」に変更し、選択肢を少なくした結果、

従来のフォームと比べて、17ptsアップの、申し込み率53%と大きく向上しました。

    


  

★A:Attractive(魅力的) ポイント:得る喜びよりも、失う痛み
事例:東京都八王子市「大腸がんリピート検診受診率の改善」


「今まで無料だったものが・・?」

大腸がんを発見するためには、毎年のリピート受診が必要不可欠です。
八王子市では、大腸がん検診を前年度受診した人のリピート受診を促そうと、大腸がん検査キット(採便容器)を送付しました。

しかし、送付した対象のうち、受診率は7割にとどまりました。
そこで、未受診者の受診を促そうと、以下の2種類のハガキを送付しました。
 

<Aグループ>
受診いただいた方には、“来年度、「大腸がん検査キット」をご自宅へお送りします。”と記載。
⇒受診すると来年度もキットがもらえるという”得”がある
<Bグループ>
受診いただかない方へは、“来年度、 ご自宅へ「大腸がん検査キット」をお送りすることができません。”と記載。

⇒受診しないと、来年度はキットがもらえず、”損”をしてしまう

結果は、「損はしたくない」という損失回避に働きかけたBグループの受診率が

Aグループよりも7.2% 高い結果となりました。

  

★S:Social(社会的)ポイント:みんな気になる、みんなの行動
事例:高知県高知市「勧奨メッセージで受診率改善」 


「健診に行かないのはあなただけ?」

人は自分たちで考えているよりもずっと周りの人の行動や発言に影響を受けています。

統計データを活用することで、相手の行動を促すことができます。
 

「2人に1人が○○しています」「90%の人が○○しています」と言葉を目立つように記載することで

読み手の「周囲の社会と同化したい」という意識を刺激することができます。

高知市では、周りの人は健診に行っていますよ、と数字で伝えることで、

同調性を刺激して、行動を促すことに成功しました。

  

★T:Timely(タイムリー)ポイント:適切なタイミングで情報を提供する
事例:福岡県福岡市、千葉県千葉市「若年層の特定健診受診率改善」


「スマホで受診勧奨!」

福岡市と千葉市は、働き盛りで、家庭でも子育てや教育などに関わることから常に忙しい40代、50 代の受診率が低かったため、この世代の最も身近なスマホのショートメッセージを利用した勧奨を試み、受診率を高めました。
 

・去年受診した月にショートメッセージを送信し健診の記憶を蘇らせ、予約に促す
・健診の終了1か月前にショートメッセージを送信し、駆け込み予約を促す

千葉市では、駆け込み予約を狙ったショートメッセージの送信により 25.6%が受診するという結果となりました。

厚生労働省「受診率向上施策ハンドブック 明日から使えるナッジ理論」より


今日は、行動経済学の中のひとつ、「ナッジ理論」とその事例をご紹介しました。強制による誘導ではなく、選択の自由を確保しながら行動変容を促すこの理論は、近年様々な分野で注目されつつあります。


“日本の健康寿命をナッジ理論で伸ばす!” 

是非、皆さんにも興味を持ってもらいたいです。

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