皆さんこんにちは!営業部のOです♪
寒さが増すこの時期、体調管理や生活習慣に気を配りたいものです。
空気や暖房による口の渇きや、鼻風邪による口呼吸で、口臭が気になる季節かもしれません。
今回はそんな口臭の原因にもなりうる、歯周病菌についてお話していきます。
口腔内には、700種類以上の口腔細菌が存在すると言われており、その内、歯周病の発症や進行に関係する細菌を歯周病菌と称しています。
歯周病菌は種々存在しますが、その炎症に関係する歯周病原性を基準として、6つに色分けされた分類があります(図1)。
これはソクランスキーのピラミッドと言われ、上層に行くほど病原性の強い細菌が配置され、下層には病原性の弱い細菌が配置されています。
上層の赤い部分は、Red complexと称され、Porphyromonas gingivalis (P.g.菌) 、Treponema denticola (T.d.菌)や Tannerella forsythia (T.f.菌) の3菌種が属しています。歯科の教科書でもおなじみの細菌です。
この3つの歯周病菌(図2)の共通の特徴としては、酸素が苦手で、強い炎症を引き起こし、血液を好むという性質があります。
ではそれぞれの細菌について、詳しく見ていきましょう。
(左から、P.g.菌(Porphyromonas gingivalis)、T.d.菌(Treponema denticola)、T.f.菌(Tannerella forsythia ))
いずれの細菌も歯周病の発症や進行に深く関係することが知られており、特にP.g.菌については歯周病のみならず全身疾患(リウマチ、糖尿病、認知症、心血管疾患等)との関連性研究にてよく言及されています。
歯科の治療では、歯周ポケットなどに生息するRed complexを効率的に除去することに焦点を当てるのは今も昔も変わりませんが、予防戦略においては、それらを増やさないことが重要です。
その中で、Orange complexの Fusobacterium nucleatum (F.n.菌) (図3)は、P.g.菌の増殖を助けることや、その病原性を強めることを示す研究成果が近年報告され、注目を集めています。
では、F.n.菌はどのような菌なのでしょうか。
F.n.菌は歯周病のない健康な人であっても口腔内に多く存在します。
細長く、両端が尖った紡錘状の形が特徴で、P.g.菌(長さ約1μm)と比較して10~20倍の巨大な細菌と言われています。プラークや舌、唾液や粘膜など、あらゆるところに存在しています。
Red complexと比較して、その病原性は低いのですが、バイオフィルムの形成を促進します。
それでは、F.n.菌はどのようにしてバイオフィルムの形成を促進していくのか、特徴を見ていきましょう 。
・共凝集しやすい
F.n.菌は図3のように細長く、色々な菌を引き寄せて自分の体にくっつけ(共凝集し)、細菌のかたまりであるプラークを積極的に作る特徴があります。
歯面や歯肉辺縁に付着した初期定着菌と、後期定着菌であるRed complexをつなぎ、歯周組織の炎症を強める病原性の高いバイオフィルムの形成を促進します。
図4には、F.n.菌(紫色)とP.g.菌(青色)の共凝集のイメージを載せています。
・歯周病菌の必須栄養素や嫌気環境をつくる
P.g.菌は、嫌気性菌であるため酸素のある環境では生育できず、一般的には深い歯周ポケットで増殖するものと理解されています。
しかし、F.n.菌が存在すると、酸素があってもP.g.菌は増殖したり(図5)、またその増殖に必要となる栄養の供給にも一役買っているなど興味深い性質がわかってきています。
そのため、歯周ポケットがなく、歯周病が進行していない口腔内でも、F.n.菌が存在することで、P.g.菌などの歯周病菌が増えやすい環境を提供することができると考えられます。
以上の性質から、F.n.菌は、ある意味、Red complexの家の骨組みを提供するような存在と例えることもできます。それにより、酸素や殺菌剤にも抵抗でき、さらにP.g.菌の住処となって歯周病を進行させるというイメージです(図6)。
・口臭の原因
F.n.菌は口臭の主要な原因物質、メチルメルカプタンを作り出します。
口臭との関係において舌苔がよく議論されますが、その中においてもF.n.菌が多く存在していることもわかっています。口臭対策を考える上においても、F.n.菌は重要です。
もしP.g.菌がなかなか減らなかったり、歯周病の症状を繰り返していたり、さらには強い口臭を疑う場合には、F.n.菌の関与を疑ってみるとよいかもしれません。
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