糖尿病のある人の口腔機能管理-千里歯科診療所の取り組み-

千里歯科診療所の取り組みについて

歯科医院での糖尿病の把握方法やその対応・取り組みについて千里歯科診療所の鈴木先生にお話を伺いました。

一般財団法人サンスター財団附属千里歯科診療所
所長 鈴木秀典先生

略歴

1994年岡山大学歯学部卒業
日本補綴歯科学会指導医
日本臨床歯周病学会理事
岡山大学インプラント再生学分野非常勤講師

Q.糖尿病のある患者様への対応で、特徴的な取り組みは何ですか?

サンスター歯科では、指先穿刺による微量採血でHbA1cと高感度CRPを測定しています。HbA1cは、糖尿病の申告がない患者様でも、定期的な健康診断を受けていない方や希望される方がいれば測定し、糖尿病のスクリーニングを行なっています。また、高感度CRPは、内科での一般検査にはない項目ですが、歯周病の進行や治療予後にも影響を及ぼすと考えられるため、独自に測定しています。

【血液検査の様子】

Q.高感度CRPの測定結果はどのように歯周治療に活かしているのですか?

Hiroshima Study(Munenaga Y et al., Diab Res Clin Pract, 2013)では、糖尿病のある方において高感度CRPが高いと歯槽骨吸収が進んでいることが報告されており、口腔内を見ただけではわからない全身の慢性炎症の程度を把握する指標ととらえています。また、糖尿病があり高感度CRPが高い方に対して、ペリオクリン投与などの局所抗菌療法を用いた歯周治療を行うと、歯周病の進行抑制のみならず血糖コントロールの改善も見込めることが報告されています。サンスター歯科では、高感度CRPの測定結果も踏まえて治療計画を策定し、患者様のリスクに応じた歯周治療をご提供するとともに、全身疾患リスクの低減にもつなげていくことを目指しています。

Q.歯周病と糖尿病に関して、今後、取り組んでいきたいことは何ですか?

地域での医科歯科連携を強化する必要性を感じています。近隣の調剤薬局、内科などに働きかけてスタッフ向けや患者向けのセミナーを開催し、歯周病についての情報提供をして、少しずつネットワークを広げています。診療情報の照会にお答えくださる内科の先生は増えていると感じていますが、双方向のスムーズな連携のためには、さらに相互に理解を深める機会を増やしていく必要があると考えています。

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