2023/06/22

歯周病と糖尿病 ~歯科衛生士にできること~

  

皆さんこんにちは!営業部のFです!

今回は「糖尿病患者さんに対する歯周治療」についてです。

歯周病と糖尿病は、相互に悪影響を与えることが分かっています。糖尿病患者さんは歯周病の

①新規発症リスク ②進行リスク ③再発リスク が高いことから、適切に口腔衛生指導を

実施したり、歯周治療を行う必要があります。

では、糖尿病患者さんに対して歯周治療をしていく上で、歯科医院でできること、歯科衛生士ができることや

注意点について見ていきましょう!


1、問診時のヒアリング

①糖尿病の受診医療施設名、担当医師名 ②糖尿病治療内容、服薬状況 ③歯周病の進行リスク の特に3点に注意して問診しましょう。今回は、3点の中でも特に重要な2点を抜粋してご紹介します。


②糖尿病治療内容、服薬状況

現在の糖尿病の治療状況や、服薬の状況などを診療前に確認しましょう。服薬については、お薬手帳を参照し、特に低血糖を起こしやすい血糖降下薬、に注意が必要です。血糖降下薬には、「スルホニル尿素(SU)薬」「速効性インスリン分泌促進薬(グリニド薬)」「インスリン製剤」があります。ほかにも、歯科治療時に注意が必要な薬剤として、「抗血栓薬」や「ビスフォスフォネート製剤」がありますよね。


③歯周病の進行リスク

歯周病の進行リスクがより高まるのは、「HbA1cが7%以上」「喫煙者」といわれています。「喫煙者」に関しては、「1日の喫煙本数」もポイントになるので、喫煙しているか、だけではなく、本数までヒアリングすることが重要です。

2、治療・メンテナンス

【治療期】

・HbA1cが7%以上の場合、早期に消炎処置を行います。広範囲で強い炎症に対しては、局所抗菌薬などを併用して侵襲が少ない方法で速やかに消炎を行います。

【SPT期】

2ヶ月などの通常よりも短めの間隔でのリコールを推奨します。

【メンテナンス期】

再発防止につとめます。

3、セルフケア

歯肉にやさしく徹底したプラークコントロールを指導するポイントは5つあります。

毛先がやわらかく清掃力の高いハブラシを使う

一般的に、やわらかいハブラシは毛先が狙ったポイントから逃げてしまい、効果的なブラッシングができません。そこで重要なのが「やわらかい毛先」と「しっかりした毛腰」の両立したハブラシを選択することです。 

②歯肉へのあたりがやわらかく、清掃力の高い歯間清掃具を使う

例えば、歯間ブラシに中も毛先のカット形状によって挿入時の歯肉へのあたりがやわらかいものもあります。


③歯間清掃具で歯間部の近遠心をしっかり清掃する

フロスと歯間ブラシを併用し、歯間部の特に歯頸部付近をしっかり清掃する。


④歯間ブラシ用ジェルを使用する

歯間ブラシ用ジェルを使用することで、ブラシの挿入がスムーズになるとともに、爽快感があり、清掃実感も得やすいため、歯間清掃習慣の定着も期待できます。さらに、薬用成分がしっかり歯間部にいきわたるという効果も期待できます。


⑤歯磨剤・洗口液の選び方

抗炎症作用のある薬用成分が配合されているものを選びます。特に、長時間歯面での効果がある殺菌剤やプラークの形成をさせにくくする効果のある殺菌剤が配合されたものがおすすめです。

3、リコール・連携

①次回の予約

低血糖リスクのある患者さんは、空腹時の受診を避けるよう、予約の時間や食事タイミングを調整しましょう。また、低血糖対策のブドウ糖の持参もしてもらうようにしましょう。

②医科との連携

医科から患者さんの血糖コントロールの状況や治療情報を把握しましょう。歯周治療や抜歯などの観血処置の可否、リコール間隔の判断材料となります。

③糖尿病連携手帳・お薬手帳の記入

糖尿病連携手帳であれば「基本情報」「かかりつけ医情報」「検査結果」「治療・指導のポイント」を記載します。特に、「直近のHbA1c」、「治療方針の変更の有無」はチェックが必要です。

お薬手帳であれば、「処方薬」、「医療機関名」「医師名」「調剤薬局名」などが確認できます。

いかがでしたか?糖尿病患者さんの歯周治療に関して、基本的なことを挙げてみました。今回の内容が、患者さんの口腔の健康をはじめ、全身の健康をサポートする一助となれば幸いです。

 参考文献:   『今日から実践!糖尿病を持つ方の口腔管理ポケットガイド』

 sunstar_diabetes_pocketguide_202210 (club-sunstar-pro.jp) 

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